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ラファエル前派展を観に行った時に
「久々にパーセル姉妹に会いたいな」と思ったので
帰宅してから本棚から引っ張り出してきました。
ちょっと思い出したら、とても懐かしくなって、
ただいま読み返している
大好きな物語シリーズをご紹介します。
その物語は・・・ヒルクレストの娘たちシリーズ(岩波書店)です。
『ヒルクレストの娘たち』シリーズは
R.E.ハリス作/脇明子訳で岩波書店より
『丘の上のセーラ』『フランセスの青春』
『海を渡るジュリア』『グウェンの旅立ち』と
現在4巻まで出版されています。
タイトルから予想できるとおりヒルクレスト家の4姉妹が
それぞれの主人公になっています。
(・・・ちなみに「姉妹それぞれが主人公の4巻の後、2巻が予定されている」
と『海をわたるジュリア』のあとがきにあり
ずーっと続編を楽しみにしているのですが、
その当時からもう10年以上たっています。続編、読みたいです!!)
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なぜ、ラファエル前派展でこの話を思い出したのかと言えば・・・
このお話は4人姉妹の成長を描いた物語ではありますが
第一次世界大戦・イギリス美術史というのが
大きなテーマとして横たわっているからです。
パーセル一家が美術に造詣が深いという設定で、
姉妹はそれぞれ得意な画法や絵画表現を持っています。
どんな絵を描いているかで、
姉妹それぞれの性格が浮かび上がってくるようになっています。
深読みしたくなる要素が満載で、
美術をかじったことがある人ならさらに楽しめるはず。
特に『フランセスの青春』は
姉妹の中でも美術に突出した才能を持つフランセスの物語という事もあり
イギリス美術史に変化が、そのまま彼女の人生に影響を与えています。
ウィリアム・モリスの名前が出てきたり
フランセスの美術学校の教授や友人の名前が
実在した人物であったり・・・と特に絵画的要素の割合が多く、
その観点から読むのも面白い1冊です。
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このシリーズは、
大きなお屋敷に住む姉妹、
お隣の親切なお金持ち・・・など
若草物語を好きな方なら、
すんなり読むことができると思います。
また、前述したように第一次世界大戦下のイギリスの様子や
美術史を伺う事もできますし、
特に戦争が与えた影響については、
若草物語よりはずっとシリアスに提示しています。
なので、大人が読んでも読み応え十分です。
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また巻ごとに視点が変わり、シリーズを通して
時系列が少しづつリレーされていく構成なので
『丘の上のセーラ』で語られたある出来事を、
フランセスは、ジュリアは、グウェンはどのように捉えていたのか・・
というのが、巻ごとに語られていきます。
様々な視点が積み重なっていくことになり、
とても多層的で映画を観ているような構成は見事。
巻が進むごとにヒルクレスト家の世界がより鮮明になっていく快感は
他のシリーズではなかなか味わえない良さ。
単独で読んでも充分に楽しめる物語ですが、
4冊合わせて読むことにより更に味わい深い作品となります。
読みやすく、かつ奥深い児童書としてとても魅力的なシリーズ。
ぜひ、ぜひ多くの人に読んでほしいオススメの物語です。
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