読書会レポート『思い出のマーニー』

©思い出のマーニー
©思い出のマーニー

ちいさいおうちで開催している読書会は、

毎月1冊、決まった本があり、レポーターの方がその本についてのレポートを発表。

その後、レポートを受けて各々がその本の感想に話し合うスタイルです。

 

「どんな風にやっているのか知りたい」「気になるけど感じがわからない」

という方もいらっしゃると思うので

今回は私が6月の会に参加してきた時の様子をご報告したいと思います。

 

今月の読書会で取り上げたのは「思い出のマーニー」でした。

・・・映画の影響とはすごいもので、今まで岩波少年文庫のみ刊行されていて

どちらかと言えば「知る人ぞ知る」作品でしたが、

最近では特装版も出版され、にわかに注目されています。

 

当初の予定では別の月に取り上げることになっていましたが

夏にアニメ映画が公開されるという事で、映画に合わせて(先取りして)

今月のテーマとなったという経緯があります。

そのため、今回のレポーターのKさんは予定が狂って大変だったと思いますが

それを感じさせない力の入ったレジュメを作ってきてくださいました!

 

レジュメの内容は

・著者・ロビンソンと訳者・松野正子さんの略歴、作品紹介など。

・作品に出てくる植物について

・アンナの辿った経路を地図で説明

・映画の情報

・アンナの感情の動きに注目して追った物語の推移

・・・と、充実したもので、様々な角度から作品を掘り下げてありました。

 

作品に出てくる植物で特に印象的な’シー・ラベンダー’と’アッケシソウ’は

「どんなものだろう~」と長年、思っていたものだったので、

ここで疑問が解消されて良かったです。

この物語は、1人の(2人ともいえるかな)少女と

彼女を取り巻く人々の物語であると同時に

場所や風土といった舞台そのものの果たす役割がかなり重要なので

こうしてディティールを読み解いていくことによって、

より物語に寄り添えるような気がします。

レポートの後のそれぞれの感想を聞くのも楽しみな時間です。

大人になってから読んだ人、今回初めて読んだ人、

改めて読み返して、この本の良さを再確認した人、子どものころから読み続けている人・・・

それぞれ、この本との出会い方も読み方も違うので、感じたこと、注目したところなど

様々な意見、感想が飛び交いました。

 

イギリスの児童文学に脈々と受け継がれる系譜を感じた方が多かったようで

「トムは真夜中の庭で」、「川と少年」、「グリーン・ノウ」シリーズ、「時の旅人」など

を思い出したという声があがりました。

タイムファンタジー、一種の謎解きのような側面があるという点、

舞台・場所がもうひとつの主人公となるという点などが、

これらの作品に共通しているものでしょうか。

その後、話題は今度公開される映画のこと、

子どもたちにこの本が楽しめるのか、どのように薦めたら読んでくれるのか・・・などに移っていき

希望的観測あり、辛口な意見あり、悲観的な意見あり・・・と、盛り上がりました。

 

1冊の本を中心にみんなで語り合える空間って楽しいなと改めて思いました。

 

今年の読書会はすでに毎月の本もレポーターも決まっています。

これから「参加してみたい!」という方は、その月の本を読んできてください。

気になった方はお気軽にご連絡ください。