先日から、twitterではイベントの様子を
ちょこちょこアップしていたので
「なんのイベントかしら??」と思ってくださった方もいるかもしれませんが・・・
8月の19日・20日に
松岡享子さんの講演会がありました。
Twitterやホームページで告知する前に
定員を越えてしまい、
事前のお知らせはできなかったのですが、
とても中身の濃い2日間でしたので、
その様子をちょっとだけご報告いたします。
まずは1日目。
1日目は6月にのら書店より発売になった
ワンダ・ガアグの『グリムのむかしばなしⅠ』と
10月に発売になる『グリムのむかしばなしⅡ』のお話をしていただきました。
グリムの昔話はたくさん出版されているのに、
なぜガアグのグリムを訳そうと思われたのか、
また、この本を翻訳しているとき、どんなに楽しかったか・・・
という訳者ならではの視点のお話や
ガアグのグリムの特徴や素晴らしい点、
ガアグがどんなにこの本に熱心に取り組んだのかという
お話を伺うことができました。
『100まんびきのねこ』で知られる
ワンダ・ガアグは
素晴らしい絵本が続々と出版された、
アメリカの絵本の黄金時代の先駆けのような作家。
絵本作家としてすでに成功していた彼女が、
挿絵だけではなくグリムをドイツ語から英語に翻訳し、文章にするというのは、私たちの想像を超える相当な苦労があったようです。
でも、その苦労と努力が実を結び、ガアグのグリムの本は、出版されるととても良い評価を得たとのこと。とりわけ、文章の方に多くの評がよせられたのだそうです。
もちろん、挿絵も素晴らしく、語りと絵を一人の作家ができるという事も、
彼女の大きな強みだったのでしょう。
松岡先生のお話の中で、私がとりわけ印象に残っている言葉・・・
「好きで訳した本ばかりで大変だったことは一度もないけれど、
心が弾むような気分で取り組め、とりわけ翻訳して良かった本です」
今までのお仕事を、どれも「大変だったことはない。好きな本ばかり」
と明言できるのは、とっても素敵な素晴らしいことだと思いますし、
松岡先生の訳された本で育ったきた身としては、そのお仕事の姿勢にまずは感激。
訳している間のことを
「ガアグが近くにいたような気分で、熱に浮かされてやったような仕事」と
本当に楽しそうにお話されていて、本に対する松岡先生の愛情を感じました。
また、ガアグの語り口の親しみやすさ、テンポの良さ、
画家の視点ならではの状況が浮かび上がってくるような描写などなど・・・
お話を聴けば聴くほど、もう一度この本を読み返さなくちゃ!
と思わせられるような想いのこもったお話ばかりでした。
会の最後に、10月に出る『グリムのむかしばなしⅡ』の方から
お話を1つ読んでいただきました。
お話自体の面白さ、文章のうまさ、松岡先生の語り口が合わさって、
場内は笑いに包まれました。
会場にいる皆さんが前のめりになって肩をゆすって笑っているのが見え
文章の力を感じました。
本では、その文章にガアグの挿絵も楽しめるのですから、
なんて贅沢なことでしょうか。
きっとお話を聴いた方は「はやくこのお話をもう1度楽しみたい」
と思ったのではないでしょうか。
子どもの頃から完訳グリム童話が愛読書のひとつだった私も
松岡さんが訳されたガアグの再話のグリム童話を
改めてじっくり読みたいなと思っていますし、
10月の発売も楽しみです!
この日は『グリムのむかしばなしⅠ』の
表紙の絵にもなっているヘンゼルとグレーテルをイメージしたクッキーをお土産に
お持ち帰りいただきました。
参加者の皆さん、おうちに帰って、クッキーを食べながら『グリムの昔話』を読み返していただけたでしょうか・・・