読書会レポート2020年6月『美しき愚かものたちのタブロー』

Ⓒ美しき愚かものたちのタブロー
Ⓒ美しき愚かものたちのタブロー
6月の読書会は新型コロナ感染予防対策で、いつもの店内ではなく広い会場でソーシャルディスタンスを確保した状態で開催しました。
3月4月5月は安全を考慮してお休みしていたので、久々の読書会となり、とても盛り上がりました。
今月の1冊は『美しき愚か者たちのタブロー』(原田マハ/作 文藝春秋)でした。
レポーターのHさんは知的好奇心が刺激された!と、
この本の参考文献に載っていた本を沢山揃えて紹介してくれました

 

(わぁ、すごい!なんという資料の多さ!感心しちゃうー!などの声が多く聞こえました)

 

皆さんの感想あれこれ

 

絵画に興味のある人には、物語だけでなく

美術館や絵の背景に惹かれたという意見が多く

◇国立西洋美術館が設立されるまでのエピソードを知ることができ、ためになった

◇印象派の絵などに興味があり面白く読めたなど。

 

また、史実をベースにしているが故に

読み手によって感想が分かれたところも。

◇史実の羅列で、解説を読んでいるようで前半はなかなか作品の世界に入れなかったが、後半になり面白くなった。

という方もいれば、逆に

◇ちょっとドラマチックに描かれすぎているような気がしたという方も。

 

解説を読んでいるような…というのとドラマチックに描かれすぎているという全く別の意見が出るのが面白い。

 

また、登場人物についても

◇人間が魅力的に描かれていないのではないか。男たちの強さが伝わってこなかった

という方がいる一方で

◇松方幸次郎、田代、日置などの男の人たちが仕事で頑張っているところが美しいと思った

◇日置の悲しい物語に涙が出てきた

 

という意見もあり、読み手によって感じ方が随分違うようだった。

 

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私も原田さんの作品はかなり読んでいますが、

原田さんの作品は直木賞の候補に

何度もノミネートされてることもあるのに、

なかなか受賞できないのが歯痒いところです。

(余計なお世話でしょうが…)

情報量に圧倒され、知的好奇心を満たす作品が多く、

そこが魅力ですが、

史実に基づいているが故に内容が盛り沢山すぎ、

テーマが絞り切れていないように思えるのかな…

と思いました。

盛り沢山な内容のどこに引っ掛かりを感じて読んだかによって、意見がわかれる作品なのかもしれません。

 

特に今回は久々の読書会ということで、

いつもに増して皆さんの熱量が高く、

賛否両論どちらの意見も活発に交わされていた印象です。

本の感想を人と話し合うのって、改めて良いものだなと感じました。

 

来月の読書会も楽しみです。