最近、嬉しかったおはなし

信濃毎日新聞で連載中の『本の宝箱』ご覧になっていただけているでしょうか?

新聞の紙面はもちろん、新聞掲載から数日後にデジタルサイトにもアップされるようになり、遠方の方にもご覧いただけるようになりましたので、ぜひそちらもご利用ください。もうすぐ、連載も1年になります(早い!!!)。最近は、連載の掲載日当日に紹介を見て本を買いに来て下さるお客さまもいらっしゃって、とっても嬉しいです。ちょっとした感想を教えていただけるだけでも、とても励みになります!

 

さて。今回は、連載に関する出来事で、最近起きたとびきり嬉しかったことをご報告したいと思います。

7月の連載で『不思議をのせたアリエル号』をご紹介した後のことです。

 

ちいさいおうちの常連のお客さま、Mさんが連載を読んで「読んでみたくなった」とこの本を1冊ご購入。自分で読むつもりで、家に置いておいたら、遊びに来たお孫さんが「読んでみたい」と読みはじめたところ、いつの間にか夢中になって、2日間であの分厚い本を読破したとのこと!

「普段から本を読むのは好きだけど、あんなに厚い本を読むとは思わなくて、びっくりしました」とMさんが驚きながらご報告してくれたのを聴き、にんまりしてしまいました。物語の力がMさんのお孫さんを、本の世界にぐいっと引きこんだのだろうなぁと思って嬉しくなってしまいました。

連載で紹介した時にも触れましたし、写真をご覧になっていただければわかるように、この本はビジュアルもとても良いんですよね。冒険の始まるワクワク感とほどよいかわいさが同居していて、大人もこどもも思わず手にとりたくなる表紙ではないでしょうか。おばあちゃんのお家にこんな本がおいてあったら、興味を持つのも当たり前かもしれません……というのは言い過ぎでしょうか(笑)でも、やっぱり読んでみたいと思う本が身近にある環境って大切だなって思います。

Mさんから聴いた話があまりに嬉しかったので、「このことをちいさいおうちのSNSでご紹介しても良いですか?」とお尋ねしたところ、なんとお孫さん本人が感想文を寄せてくれました。本当は文章を書くのはあまり得意じゃないとのことですが、まっすぐで素敵な感想文だったので、こちらでご紹介させていただきますね。

「わたしは、アリエル船の話を読んで、悲しいようなうれしいような気持ちになりました。どうしてかというとエイミーという女の子は、生まれた時から一人ぼっちでかわいそうだと思ったからです。そして数年後、エイミーの日々はだんだん楽しくなり、ある日かいぞくに会いました。かいぞくに会ったエイミーの顔は、えがおになり、わたしはとてもうれしくなりました。読んでいてわくわくしました」

この本を読んだときに「悲しいようなうれしいような気持ち」になるの、私もとってもよくわかります!!!この、なんともいえない感じが物語の深みの部分でもあるし、読む年齢によって感じ方も変わると思うので、また少し経ったら読んでみてほしいな……なんて思いました。もし、今後、Mさんのお孫さんとお会いできる機会があったら、アリエル号の話で盛り上がれたらいいな~なんて、今から勝手に楽しみにしています。

『不思議をのせたアリエル号』は途中で出版社が変わったり、その分厚さから(?!)書店の棚に常備されていなかったりするせいか、まわりの本好きの人たちの中でも「知らなかった」「読んだことなかった」という人が、意外と多い本でした。これまで連載で紹介した本の中でも、それをきっかけに「読んでみる!」と言ってくれる人が多かった本の上位に入ります。どんなに前に出版されていても、その本と初めて出会った時が自分にとっての「新しい本」なんだよなぁと改めて思ったできごとでもありました。