『いのちの木のあるところ』読書会に参加してきました!

Ⓒいのちの木のあるところ
Ⓒいのちの木のあるところ

11月の1冊は『いのちの木のあるところ』(新藤悦子 著/佐竹美保 絵/福音館書店)でした。

今回はなんとスペシャルゲストとして、この本の著者である新藤悦子さんが参加してくださいました。おかげで、2023年度最後を締めくくるにふさわしい贅沢な会になりました(12月の読書会はお休みです)。

どんな会になったのか、ざっくりではありますがレポートいたしますね。

 

『いのちの木のあるところ』

物語の舞台は13世紀のトルコ。主人公のトゥラーンを中心に、テンポよく物語は進みます。個性豊かな登場人物と共に、トルコの風土・文化に建築様式や世界情勢など多彩な魅力にあふれる1冊。

最近の児童書では珍しい重量級の部類に入る存在感ですが、ひとたび読みはじめると一気に読めてしまう人も多いのでは。見慣れない名前や名称にひっかからなければ、ぐいぐい読みすすめられる面白さだと思います!

 

レポーターのNさんが作成してきてくれた資料は、主な登場人物・物語の舞台の地図・実際の歴史的史実・建築物・宗教についてなど、物語を読み進むうえで気になったことが整理・解説されていたので、この資料を横に置いてもういちど物語を読んでみるのも楽しいだろうなと思いました。特に、お話の中のできごとと史実を対比させた年表がお見事で、新藤さんも「私以外にこんな年表を作ってくれる人がいるなんて思わなかった」と驚いていらっしゃったくらいです。

 

レポートで紹介してくれていましたが、物語にも登場するトルコの世界遺産大モスクなどの建築物については実際に画像や映像(閲覧可能な公式サイトもあるそうです)を見ることができるそうです。また、Nさんが持参して来てくれたキリム(平織物)やハマム(浴場)に関連する参考文献を見ると、トルコのこと、当時の暮らしぶりなどがなんとなく想像しやすくなり、物語の世界の輪郭がより浮かび上がってくるような気がしました。

視覚から物語の世界を立体的に感じるという意味では、石工であるフッレムシャーが手がけたモスクの入口を飾る冠門。その冠門の浮彫の文様を佐竹美保さんのイラストと写真を見比べることのできる資料もNさんが用意してくれていて、見比べることによって、イラストと実物どちらも繊細で大胆で素晴らしいと感じることができました。

 

新藤さんの過去の作品をみていくと、新藤さんがとにかくトルコ・中近東がお好きだということがよくわかります。そんなご著書の中から『いのちの木のあるところ』とあわせて読むのであれば『トルコのゼーラおばさん、メッカへ行く』(福音館)をちいさいおうちではおすすめしています!トルコのこと、メッカのこと、イスラームの人たちの暮らしのこと、知らなかったことがわかりやすく書かれています。

また『願いを伝える遊牧民の布 キリムからの手紙』(桐山エツコ 著/かもがわ出版)も、お話の中でも重要な役割を持つキリム、ヤプラクやばばさまたち遊牧民について、知識をより深めるのに役立つ本です。

 

今回の会はなんといっても、この物語の作者・新藤さんご本人がいらっしゃるということで、参加者がお話を読んで聴いてみたい事や感想を直接お伝えするという時間を設けました。

 

なぜ、トルコに興味を持ったのか、トルコの人々の様子、トルコの食べ物などなど。トルコ人は親日家が多いということや、その理由など意外なお話も聴けました。現地の市民の生活や、現在の治安や政権のお話など、新聞やテレビからではなかなかわからないことで、トルコを身近に感じることができたのではないでしょうか。

個人的に特に印象的だったのは、新藤さんがお子さんと夏休みにトルコ滞在していた際に、日本から紙芝居を持っていったというお話です。新藤さんたちがこどもたちに紙芝居をしてみせたところ(テキストはご自身でトルコ語に訳して)、トルコの子どもたちもとても喜んだそうで、自分でもやりたがったとのこと。そこにいた全員が紙芝居を読みたがったとのことで、トルコの子どもたちが積極的なことにも驚きました。それに、紙芝居が人の心を開いてくれる可能性も感じるエピソードでした。読書会の参加者からは「トルコに行ってみたい!」という声がたくさんあがりました。

また、新藤さんが子どもの本を書くときに「食べるものと歌」を特に大切に考えているというお話も心に残っています。新藤さんの書く子どもの本には必ず歌がでてくるそうです。『いのちの木のあるところ』の中でも、いのちの木の歌がでてきますが、これは、新藤さんの創作で、新藤さんにはメロディーも聴こえているそう。残念ながらその場で歌っていただくことはできませんでしたが(笑)いつかどこかで聴く機会があるかもしれない……と勝手に期待しています。

 

ちなみに……今回はティータイムにはトルコのお菓子がお供でした。

ターキッシュデライトはトルコの伝統的なお菓子でロクムと言います。ナルニア国物語『ライオンと魔女』で白い魔女がエドマンドに食べさせていた「プリン」は

実はこのターキッシュデライトのこと。

ターキッシュデライトは新藤さんがわざわざトルコ文化センターから買ってきてくださいました。ローズやナッツ、チョコレートがコーティングされたものなどバリエーションも色々あります。

 

バクラヴァとはオスマン帝国時代から愛されているという中近東のお菓子です。昨年、日本にもトルコのバクラヴァ専門店ができ、一度は食べてみたいと思っていたので張り切って買ってきました。

どちらもとても甘く、いかにも異国の味という雰囲気。楽しかった会の思い出の味になりそうです。

 

最後に、レポーターのNさん素晴らしいレポートをたくさんの資料をご用意いただきありがとうございました。急遽、作者の方も来るということでプレッシャーもあったと思いますが、本当におつかれさまでした。

そして、特別ゲストの新藤さんも本当にありがとうございました。読書会に、実際に作者の方が参加してくださるという貴重な体験ができ、とても楽しく心地よい刺激を受けました。長年、読書会を続けていると、こんな嬉しいサプライズもあるのですね。

 

私は今回久しぶりに読書会に参加しました。

1冊の本を囲んでいろいろな人の感想を聴け、みんなで話ができて……改めて、こういう本の楽しみ方も良いなぁと思うことができ楽しかったです。ずっとこの会を継続されている読書会のみなさま、今回はお邪魔しました。

2023.11(AYANO)