
もうすぐハロウィン。
日本でも最近ではクリスマス前の一大イベント!という雰囲気で盛り上がっています。
私の小さい頃は、日本ではハロウィンは一般的にはあまり知られていない外国の行事…という感じで、今ではすっかり有名なハロウィンの合言葉Trick or Treat も
jack-o'-lanternも、私はお話の中で知りました。
翻訳の絵本やお話にはハロウィンのお話や場面が沢山描かれていたので、それを読みながらワクワクとお話の中で自分もハロウィンの体験をしていたものです。
まさか、日本でこんなにハロウィンの仮装がブームになるとは…(ちょっと違った方向に特化している気もしますけれど)
今回はハロウィンに因んだお話や絵本をご紹介しようと思ったのですが・・・
最初にご紹介しようと思った、ゆかいなヘンリーくんのシリーズについて書いていたら、書きたいことがありすぎて長くなってしまったので、予定を変更して
ヘンリーくんシリーズの中のハロウィンの事を書きたいと思います。
私にとって「外国にはハロウィンという楽しい行事があるらしい」と認識するきっかけになったのは…アメリカの家庭でのハロウィンを描いているベバリイ・クリアリーの「ゆかいなヘンリーくん」のシリーズです。「ゆかいなヘンリーくん」のシリーズはアメリカの子どもたちの生活がユーモアたっぷりに生き生きと描かれていて、とても楽しいシリーズなのですが、それだけではなく、子どもの複雑な感情がとても丁寧に描かれています。(…ということに大人になって読み返して気がつきました。子どもにだって色々と事情がある!ということがクリアリーにはよくわかっていたんですね)
ヘンリーくんシリーズでハロウィンが出てくるのは
『ヘンリーくんと秘密クラブ』
『ラモーナは豆台風』
『ラモーナとおとうさん』の3冊。
(他にもあったらごめんなさい。記憶で書いていますので思い出したら訂正します)

『ヘンリーくんの秘密クラブ』
(ベバリイ ・クリアリー /著 ルイス ・ダーリング /絵
松岡 享子 /訳)
には、ハロウィンの醍醐味Trick or Treat の騒動が描かれています。
仮装をしてお菓子をもらって歩く…なんて、このお話を初めて読んだ当時の私にとっては衝撃的かつ魅力的なイベントで、読みながら、自分ならどんな仮装をするか、海外ではどんな素敵なお菓子がもらえるのかなどなど、かなり真剣に考えていたものです。

『ラモーナは豆台風』
(ベバリイ ・クリアリー /著 ルイス・ ダーリング /絵
松岡 享子 /訳)
にはハロウィンに喜び勇んで世界大悪の魔女の仮装をしたラモーナが、お母さんが自分をわからなかったらどうしよう…と不安になる姿が描かれています。
豆台風のようにいつも騒動を巻き起こす、大人から見たら問題児のラモーナですが、彼女の内面はとてもナイーブ。突拍子なく見える行動と、ラモーナにとっての彼女なりの行動の理由とが描かれているのが素敵です。

『ラモーナとおとうさん』
(ベバリイ ・クリアリー /著 アラン・ティグリーン /絵
松岡 享子 /訳)
ではラモーナとおとうさんがジャック・オー・ランタンを作ります。jack-o'-lanternをつくるのが得意なお父さんが誇らしいラモーナ。子どもに良いところを見せたいお父さん(失業中)と、そんなお父さんに少しでも機嫌よくいてほしい娘…微笑ましい光景なはずですが、なかなか事態はうまく進まず…
理想どおりに物事が進まない様子がおかしくもあり、もどかしくもあり…
シリーズの中に何度も登場するくらい、子どもにとってのハロウィンは
心躍る行事なのだということが想像できますし
子どもの目線から見た、ちょっと特別な行事としての
ハロウィンを知ることができるお話って実は貴重ではないでしょうか。
現代とは生活スタイルもかなり違うのかもしれませんが、
子どもの頃の
素晴らしいアイディアがなぜか思った通り進まなかったり、
急に不安になったり、案外大人に気をつかっていたり…
芽生える感情は案外変わらないものなのかもしれないなと思わせてくれるのが
クリアリーの作品のすごいところなのかなと思います。
子どもの視点、大人の視点、男の子の視点、女の子の視点、
兄弟のいる子の視点、一人っ子の視点…など、
様々な視点をフラットに描き分けているのが見事なんです。
…と熱烈におすすめしているのですが、残念なことがひとつ。
本当に本当に残念なのですが、ゆかいなヘンリーくんシリーズは
せっかく新装版になったというのに、既に品切れ重版未定が多い。。。
(なぜでしょう??みなさん、どうか読んでください…)
今回ご紹介した3冊では
『ラモーナとおとうさん』は現在のところ版元品切れ・重版未定。
ちいさいおうちにも店頭在庫のみですのでご了承ください。