八王子の富士美術館で開催中の『長くつ下のピッピの世界展』に行ってきました。
日本とスウェーデンの外交関係樹立150周年記念のイベントの一環に
ピッピの展覧会があるのはそれだけピッピが、
そしてリンドグレーンが愛されているということでもあるので
とても嬉しいことです。
今回は日本では過去最大の規模のピッピの展覧会ということで、
リンドグレーン大好きな私は開催前からワクワクして
行く日を楽しみにしていました。
(この夏の暑さに負けて、出遅れましたが、早速リピート訪問もするつもりです)
アクセスの良い場所…。とは言い難いですが、
行く価値のある充実した内容だったので
魅力の一端をお知らせできたら良いなと思います。
エントランスでお出迎えしてくれるピッピや、トミーとアニカたち。
ワクワクが高まります。
展示会場の最初にある『長くつ下のピッピ』の原稿は、
リンドグレーンが娘のカーリンの10歳の誕生日に贈ったもの。
これまで門外不出で、スウェーデン国外で展示されるのは今回が始めてという
とっても貴重なものですので、絶対に見逃さないでくださいね。
また、ピッピのイラストからは想像もできない
ニイマンの他の作品も見ることができたのも良い体験でした。
ジャポニズム…にかなり傾倒していたことなど、
私は知らなかったことが多かったです。
日本でおなじみの桜井さんのピッピの原画も見ることができ、
それはそれで懐かしい気持ちでいっぱいになりました。
今思うと、ちょっと大人っぽすぎるピッピの姿なんですけど、
何度も何度も擦り切れるまで読んだピッピの挿絵はこちらなので
いわばパブロフの犬状態…。
イラストを見ると、そのイラストの出てくる章を思い出すほど
記憶に直結しているので、
新版が出ても、多くの方が「やっぱりこれがピッピ」と思うのも理解できます。
両方それぞれに魅力があるので、思い出もらしさも大切に思えれば良いですよね。
以前原画を見た時も思ったのですが、ヴィークランドのイラストは
原画で見ても、本で見てもそれぞれにとても素敵で満足感があります。
本になると、カラーでなかったりイラストが省かれていたりすることも
あるのですが、だからといって寂しい感じがしたことはありません。
でも、色がついているのを見ると、また新しい魅力発見!という感じで
イラスト自体にストーリーというか奥行きを感じることができます。
お話に寄り添う絵というのかな…
とにかく、リンドグレーンの作品との相性は抜群なのです。
近年はヴィークランドのイラストの絵本が
どんどん品切れ、重版未定という憂き目にあっていて
以前は例えば『やかまし村〜』だったら絵本から幼年童話、
満を持して読み物へという流れで読み進めていく
良いラインが作れたのになぁと残念です。
・・・と、嘆いても仕方ないので、
この機会に、ヴィークランドの原画を堪能しましょう。
会場内で見ることのできる映像も見逃せません。
リンドグレーンがスピーチしている映像と、
リンドグレーンの生涯をダイジェストで解説している映像、
どちらも見応えあります。
リンドグレーンの作家として、人としての信念、矜持を
しっかり感じることのできる映像で
リンドグレーンのことをますます尊敬してしまいました。
すべて はじめは誰かの想像の中で
起きたことなのですよ』
というリンドグレーンの言葉で
展覧会は終わります。
展覧会を観た後のこの一言。ずっしりきます。素敵な言葉です。
この展覧会は富士美術館では9月24日まで。
便利な場所ではありませんが、一見の価値アリの内容ですので、
興味を持たれた方はぜひこの機会に!
今後は宮崎・京都・名古屋・福岡に巡回するそうす。