クマのプーさん展に行ってきました

 

渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催中のクマのプーさん展に行ってきました。

 

V&Aミュージアムでの展示が日本にやってくるというニュースを聴いて、昨年から首を長くして待ち構えていた念願の展覧会でした。

 

イラストの描いたシェパードが270点以上にもおよぶ原画や資料をV&Aに寄贈したため、シェパードの描いたプーさんの原画はⅤ&Aミュージアムが世界最大規模で所蔵しています。

 

 

そのⅤ&Aミュージアムでは原画の保存のため、1度公開すると、その後、最低10年は非公開というルールがあるそうです。本国でもそうなのですから、次に日本にくるのは一体いつになる事か…と思うと、

今回がいかに貴重な機会なのかわかりますね。

(私は既に2回観に行きました。そしてもう1回行くか迷っています。)

1926年にイギリスで誕生した「クマのプーさん」はお話を書いたA.A.ミルンと、

イラストを描いたE.H.シェパードが生み出した最高の物語です。

この物語の大きな特徴の1つといえるのはお話を書いたミルンと挿絵を描いたシェパードがたくさん相談をして作り上げる珍しいスタイルをとっていたことです。

現実に存在しているぬいぐるみ、場所を丹念にスケッチしたシェパードが、ミルンの作った物語をふまえて物語を発展させ…。そうやって、現実の世界を内包しつつも更にファンタジーのエッセンスが加わった物語が出来上がったのではないでしょうか。

 

そんな物語作りの過程がこの展示ではよくわかります。

また2人が共にプーさんと仲間たちを愛し、慈しんで、この物語を作ったのだという事が伝わってきて、胸が熱くなりました。

個人的な話になりますが、この物語は私自身、何歳ころからこのお話を読み聞かせてもらったかは、もはや覚えていないくらい肌になじんだお話のひとつでもあります。愛すべき登場人物、100エイカーの森で繰り広げられるおかしくもちょっぴり切ない出来事の数々は、まるで自分の幼年期の体験したことかのように、記憶がミックスされています。

そのため今回の展示を観たときに、シェパードの線画の巧みさ、素晴らしさを感じる前に、圧倒的な懐かしさ親密さに涙が出てきそうでした。

 

この話を同じく幼い頃からプーさんを読みきかせしてもらっていたという友人に話したら、ほとんど同じ意見で「プーさんと自分の境界線がないくらい、プーさんがなじんでいる」という話で盛り上がりました。

 

全ての人に…とは言いませんが、幼い子供の心に寄り添うエッセンスがプーさんの物語には確かにある!と私は信じています。松岡享子さんがお話されていたのですが「クマのプーさん」にはお話の波をキャッチできる臨界期があるとのこと。クリストファー・ロビンの年齢と同じ3~5歳の頃に出会えると、プーさんと腹心の友になれるのかな・・・(松岡さんは臨界期を超えた大人でも耳からお話を聴くとプーさんの世界に入り込めるともおっしゃっています)

 

 

以前は岩浪書店から絵本で15冊のシリーズが出版されていましたが、現在は絵本では「はじめてのクマのプーさん」というシリーズが3冊でているのみで、年齢的には少し大きな子ども向けなのかな?と言う感じ。

35歳のお子さんと思う存分プーさんの世界を楽しむならば、眠る前に単行本から1章づつお話を読んであげるのはいかがでしょうか?

Ⓒクマのプーさん プー横丁にたった家
Ⓒクマのプーさん プー横丁にたった家

現在は色々なバージョンが出版されていますが、やはりお勧めしたいのはもちろんシェパードのイラストで、石井桃子さん訳の『クマのプーさん プー横丁にたった家』(岩波書店/刊)のものです。厚い本なので最初は少し怯むかもしれませんが、とても面白いので苦にならないはず…私自身もそのように読みきかせをしてもらいましたが、お話と同じくらいイラストの印象も強いです。

ぜひプーさんたちの巻き起こす出来事にくすくす笑いながら、お子さまと一緒に、プーさんの世界を楽しんでください。

 

 

子どもの頃に読んだっきりだったという方は、ぜひお好みのバージョンでプーさんたちに再会してみて下さい。

読み比べするのも新しい楽しみかもしれませんよ!